
今朝もユカペロ騎士団は
日々激しさを増す砕氷戦での勝利に向け訓練を行っていた。
「ぐっもーにン!えヴぇぅりわん!
これからヒラのスキル詠唱の訓練を行います!!
ぷりぃ~ずあふたーみー!listen!」
団員たちに向かってララフェルのぺろっぴが先導する。
『右見て!左見て!エアロガッ!Say!』
木人にエアロガを炸裂させたぺろっぴは
右手で杖を構えながら左手で実践を促す。
『右見て!左見て!エアロガッ!セィッ!』
「いや…セィッ!は要らないから…」
苦笑しつつ次の訓練へ移行する。
「次は逃げていく敵を逃がさないために寝かせましょう!listen!」
『私から逃げられると思うなよ!迅速リポーズ!Say!』
「私から逃げられると思うなよ!迅速リポーズ!セィッ!」
「……だから…セィッは要らないってば!」
呆れながら続ける。
「次は、敵から逃げるときに相手にバインドを付けて、
それをエスナで解除されないようにする重ねがけの練習です!listen!」
『振り向いてアクア!
か~ら~の~ウィルス!
か~ら~の~エアロ!
しながら!スプリント!!Say!』
「振り向いてアクア!
か~ら~の~ウィルス!
か~ら~の~エアロ!
しながら!スプリント!!セィッ!」
「もぅ!!」
そんなことを繰り返す一同のところへ
ぺろらっか先生がやって来た。
彼はぺろっぴたちとは真逆の意味でフロントラインで名を轟かせていた。
つまりはその道のプロである。
「おっはー!君達朝から頑張るね!
その調子でこれからも頑張るのだよ~!」
と、一声かけて行きかけたぺろらっか先生は
それから…と振り向いて続けた。
「今使ってたスキル、もう無いから!」
ぺろっぴ
「ナ,ナンダッテーーー!?」
みんな
「ナ,ナンダッテーーー!?セィッ!」
PVPの基本は回りについていくことということを
忠実にこなす騎士団員だった。
~この頃のぺろっぴは白魔導士だった~
新たなパッチのPVPでの白魔のスキルを見たら
攻撃系はストンガしかなかった。
デバフ系は無くなっていたかもしれない。
どちらかというとロールの役目を果たすように
回復スキルに重きが置かれる変更だったように思う。
クルセが無くなってヒラに攻撃魔法持たせたら
強すぎるのかもしれないですけど、
回復だけだとちょっと寂しいかもしれない。
そんなことを当時は思ったものだ。
(なつかしいな・・・)
目の前には多くの冒険者が今か今かと
ゲートが開くのを待ちきれずにそわそわしていた。
その中に白魔導士ぽい装備を身に着けたララフェルを目にとめて
ふと昔を思い出したのだった。
視線を向けていたのは
グリダニア装甲のチョコボに跨り黄金の大槍を背に担いだララフェルだった。
その全身は黄金の騎士装備に身を包み
兜はバイザーを下しており他人からはその素顔を覗くことはできない。
それは、今はもう誰も知らないかつてこの地を
混沌に貶めたユカペロ騎士団副団長のぺろっぴだった。

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