
攻め上がってくる敵勢力の前に
隊列の先頭集団に紛れ込んでいたぺろっぴは
前に出たり下がったりを繰り返していた。
それは牽制だ。
攻めちゃうよ?
いいの??
嫌だろ??
なら隊を退きなさい。
そんな意味を込めて。
というのが俯瞰して見たときの一般的な意味である。
しかし!!
(うぅ…気持ち悪い…)
ぺろっぴは込み上げる違和感に嫌悪感を抱いていた。
(タンクが前線を押し上げてくれない…味方全員の息が合っていない…消極的なかほりがする…)
ズンドコズンドコズズズン♪
緊張感を高めるBGMだけがフィールドにこだまする。
どこかに演奏隊でもいるのかしら?
そんなくだらない事を考える余裕もない。
そのBGMのリズムさえ今は不協和音に拍車をかけていた。
このままじゃ埒があかない!
それどころか攻めこまれてしまう!!
ぺろっぴは一人動き出す!!
息が合わずに不協和音を奏でるバンドメンバーの
緊張を解すかのようなギターソロを噛ますのだ!
奮い起て!!
私が先導してやるからッ!!
ぺろっぴの竜騎士のスタイルは特攻隊長だった。
それが正しいかどうかはわからない。
しかし!
「フロントライン」で最重要なのは
【フロントライン】を上げることなのだ!
ぺろっぴは数多の戦場を渡り歩き
その重要さを身に刻んでいたのである。
ジャンプ一閃!!
敵の隊列中央に突貫する!!
仲間を信じて!!
前線を上げてくれると信じて!
ピロン♪ピロン♪
下がって!!
東へ向かいます→
ピロン♪ピロン♪
それは突如流れる指揮者の号令。
味方勢力は前線を上げることなく
その場を…ぺろっぴを…放棄した。
兵どもが夢のあと
というには勢力同士がぶつかったとは思えないほどに
穏やかな時がその場所に戻る。
ただひとつ小さな塊が寂しく残されていた。
これがぺろっぴの
ぼっち・ざ・しーるろっくなのだった。
小さな塊は顔面を地面に埋めながら呟いた。
「良い子のみんな!退くことも大事だよ!ぐほっ!!」
その無残な姿は、ぼっちちゃんが文化祭ライブで客席ダイブをかまし自爆した姿を思い起こさせたのだった。
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