
ぐはっ!
ぴっぴの呻き声が深層の静寂を荒らして
その数秒後に何事も無かったかのように
静けさを取り戻し辺りは闇に包まれていった。
ー1時間前ー
161F層を先行したのはぴっぴ2号だった。
二人で相談した結果、ここまで登り詰めてきた勢いのまま進んだ方がいいという結論に至ったのだ。
道中にわくモンスターはほぼ恐竜の姿をしていた。
その姿のイメージのままに強く、
そして硬い。
倒すのも一苦労である。
足を止めて殴られた場合、攻撃にもよるのだが
HPが半分くらい削られてしまうのだ。
だから!
こまめに!
回復を!!!
するのだっ!!!
と、イメージ的にはこんな感じで攻撃をしながら
逃げ続け
そして秘薬もケチることなく使っていく。
それでもやはりケチるのだけど。
そしてピンチを招くのだけれど!!(°Д°)
しかしぴっぴ2号は転がることは無かった。
経験が生きている!
ぴっぴ2号は自信を持った。
ただ運が良かっただけなのに。
いややはり作戦は確かに効いているようで
魔土器も少し大胆に使いつつ
アップテンポなノリノリな曲が背中を押して行ってくれていたことは紛れもない事実だ。
そして…
すったもんだがあったものの
170Fボスの部屋に到着した。
残りは8分。
微妙な時間にぴっぴ2号は初めて顔を歪めたのだった。
4秒で支度を済ませ殴りかかる!
そしてその時はやって来た。
ボスのHPが30%を切った頃…
ぴっぴ2号は床に転がったのだった。
それは自身の回復より攻撃を優先した結果
だった。
時間を気にしたことで焦りが出たのかもしれなかった。
転がった瞬間に思わず
「あーーーー!!!死んだ!!!」
それはぴっぴの中の人のリアルな叫びだった。
その声が上がったと同時に
「ぴょょょーーー!!」
聞いたことのない鳴き声が飛んできた。
リアルペットのリアルインコだった。
「何事!?大丈夫か!?ご主人!?」
そんな声に聞こえた。
振り向いて言葉を返す。
「死んじゃった…(;´д`)」
何度も失敗は繰り返しているものの
やっぱり死者の宮殿での失敗の瞬間だけは
慣れることはない。
その一瞬に心臓がきゅん!となるのだ。
きゅん死である。
そして何事もなかったのように
ぴっぴ2号は一人クオーリーミルに放り出されたのだった。
その光景は何度見ても何とも言えない景色なのである。
ぴっぴ2号は
死に戻りしたのではない風を装って
そこからそそくさと立ち去ったのだった。

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