
あーなるほど…
薄れ行く意識の中でぴっぴ1号は理解した。
・・・1時間前・・・
ー逝ったか…ー
体に痛みが走った。
それはぴっぴ2号が死者の宮殿から放り出されたことを意味していた。
時間にしておよそ一時間。
2号と別れてから経過した時間だ。
恐らく道中…いやボス部屋で散ったのだ。
ボスまでたどり着くくらいのことはしたはずだと
ぴっぴは自分で自分を褒めたのだ。
そして遂に腰を上げた。
2号の残してくれた足跡を辿るのだ。
道中はすったもんだがあったものの
気がつけばボスの部屋にやって来ていた。
その道中のすったもんだまで辿るものなのだと
後にぴっぴは語るのだった。
ー170Fー
あいつか…2号を殺ったのは…。
時間は残り10分。
行ける!!
そう確信してぴっぴは殴りかかった!!
そして!!
その時はやって来た。
ボスのHPが30%を切った頃…
ぴっぴ1号は床に転がったのだった。
それは自身の回復より攻撃を優先した結果
だった。
時間は気にしていなかった。
行けると思っていたから。
しかし思いの外ボスの一撃が痛かったのだ。
ぴっぴは算数が出来なかった。
殴られて削られるHPの量と
薬で自己回復する量の差を!
さらに計算は複雑で
ボスが殴るサイクルと自動回復していくサイクルも
数式に入れなければならなかった!
戦いながら!!
それが…出来なかった…( ;∀;)
薄れ行く意識の中でぴっぴは呟いた。
なるほど…計算が出来ないのなら
HPを厚めにキープして戦えばいいのか…
それがこのボスの攻略法なんだ…ぐほっ!
そして何事もなかったのように
ぴっぴ1号は一人クオーリーミルに放り出されたのだった。
その光景は何度見ても何とも言えない景色なのである。
ぴっぴ1号は
死に戻りしたのではない風を装って
そこからそそくさと立ち去ったのだった。
これにより二人のぴっぴは死者の宮殿から解放されたのだった。
二人はどこへ消えたのか…
それを知る者はいない。
おわり?
◆シリーズ
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